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離陸する、蠍座から射手座へと 〜日常の星占い〜


この間、久しぶりの出張で飛行機に乗った。


乗り物が好きなわたしは興奮する。

搭乗ゲートでの多くの人が思い思いに過ごすざわめきも好き。

きびきびとしながらも親切な空港の人たちを見るのも好き。


アナウンスが流れて、いよいよ機内に乗り込む。

どきどきしてる。

乗り物が好きだけど同時にびびりでもあるわたしは、速度が出るものが怖い。

しかも乗り物は、絶対に安全ではない。世界中でちょくちょく事故は起きている。


乗っている便が滑走路を動き出し、大きな音が鳴り響く。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

どんどん大きく、テンポが速くなる轟音。

ドキドキドキドキ……


長い助走を終え、ついにふわっと機体は持ち上がり、宙に浮く。

緊張は最高潮に達する。

そして翼は完全に風に乗り、上昇し、打って変わってわたしの中に安堵と高揚感が訪れた。



これって、蠍座から射手座への飛躍に似てるなと思う。



飛行機や旅は、射手座が管轄するもの。


そのひとつ手前の星座の蠍座では、他者と「一体感」を得て、化学反応を起こし「変容」する。その変容の過程では「死と再生」を感じるとされる。自己が死に、新たな何かへと生まれ変わる。


そうして射手座になって、生まれた何かは「旅・冒険」に出る…という、星座の順番にも星占いでは意味を持たせている。


離陸前、機内では危険の際の注意事項ビデオが流される。

上から落ちてくる酸素マスクや救命衣の着用方法を教えてくれる。

それらがビビリのわたしのドキドキを一層、加速させる。

死のリスクが頭によぎる。(もちろん、飛行機が安全に整備されているのは知っているけれども。)


そもそも、頭でなんとなく分かっていても、飛行機という重い鉄の塊が空を飛ぶという事実をまだプリミティブな体は理解できていない。


「もう信用するしかない」、という境地。


蠍座は、信用と絆の星座。

自己を捨てても一体感を持つには、それだけの深く強い結びつきが必要になる。


ゴゴゴゴゴゴゴゴ……という爆音に死を覚悟している。

その想いが最大限に振り切れた頃、わたしの体は空に浮かんでいる。


射手座は旅と冒険、そして「自由」の星座。

空の上から見る街並みは小さい。

あっという間に、雲の上に到達し天気が良ければ眼下には海が広がる。


あの解放された感覚。少し前まで死の妄想に取り憑かれていたのに。


冒険するのは、怖いこと。

失敗やリスクを引き受けないと進めない。

でもその先には、ルーティンの毎日では得られない景色が待っている。




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